『祭りのあとで』と『金木犀の駅』には共通するテーマがあります。
それは「季節が運んでくる恋の記憶」です。
『祭りのあとで』では夏の終わりの風が。
『金木犀の駅』では秋の香りが。
それぞれ主人公を過去へと連れ戻します。
一方は恋愛にならなかった想い。
もう一方は終わってしまった恋。
どちらも叶わなかった恋愛ではありますが、悲しみだけを描いているわけではありません。
時間が経ったからこそ見えてくる優しさや愛おしさ。
そして過去の記憶を抱きしめながら前へ進む強さ。
そんな感情を表現したかったのです。
季節は毎年巡ります。
そして私たちの記憶もまた、その季節とともによみがえります。
夏の風や秋の香りは、まるで心の奥にしまわれた思い出を呼び覚ます鍵のような存在なのかもしれません。